皓星社メールマガジン、第56号をお届けします。このメールマガジンは月に1度、株式会社皓星社の「ざっさくプラス」最新情報、新刊案内、グループ会社の絵本出版・ハッピーオウル社の新刊案内、そして近代出版研究所の活動等を配信します。ぜひお知り合いの方々へ転送、拡散ください。
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目 次
☆ 【連載】趣味の近代日本出版史 第50回(河原努)
★ じんぶつプラスニュース
☆ 皓星社出版ニュース
★ フェア・イベント案内
☆ 近代出版研究所だより
★ ハンセン病資料館友の会だより
☆「皓星社友の会」のご案内
★ 編集後記
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☆【連載】趣味の近代日本出版史
第50回 出版界の訃報を集める――訃報雑感
河原努(皓星社・近代出版研究所)
■いそがし、いそがし
なんだかずいぶん忙しい。ようやく山中智省、嵯峨景子監修『ライトノベル雑誌・少女小説雑誌目次集成』(2025)の作業が終わったと思ったら、高野光平先生のエッセイ『昭和五十年代をさがして』(3月6日発売)と、4月上旬発売の『近代出版研究』5号の編集作業が重なり、さらに新しいデータベース「じんぶつプラス」のリリースを4月に控えているからだ。それで先月も休載した。連載で取り上げる種を仕入れる時間がないんだよなあ、ということなのだが『近代出版研究』5号で「出版界訃報二〇二五」というコラムを書いたので、それを拡張して「訃報を集める」話をしてみよう。
(……続きを読む)
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★じんぶつプラスニュース
【先月からの新規登載情報】
「じんぶつプラス」の新規登載情報を紹介していきます。フォロー&リアクションいただければ励みになります。ざっさくプラスニュースは今月はお休みです。
『新文化』2026年2月5日号で「じんぶつプラス」が取材されました! 結構大きく取り上げていただいています。中の人の写真も掲載されていて、ちょっと珍しいです。
〇独自登載分
『和歌山県有田郡誌』和歌山県有田郡役所(1915)
※和歌山県有田郡の自治体史で、第15章「人物小伝」を登載。明治大学図書館の協力で本文閲覧可能に。名著出版から複製あり
『神石郡誌』広島県神石郡教育会(1927)
※広島県神石郡の自治体史で、第11編「人物誌」を登載。国会図書館未所蔵。明治大学図書館の協力で本文閲覧可能に。
〇デジコレ目次登載分
書名にあるリンクを踏んでもらえればわかりますが「デジタルコレクション」の「目次」にはコマ番号があるだけです。「じんぶつプラス」を経由すれば、登載した目次に掲載頁のURLを紐付けているので、すぐにその人物の掲載頁に跳べます。
『三百藩藩主人名事典』(全4冊)新人物往来社(1986~87)
※関ヶ原の戦いの慶長5年(1600年)から廃藩置県の明治4年(1871年)まで、全国各藩の藩主を調べるための基本的な人名事典(旧国名で北→南、藩内は歴代順の排列)。続編にあたる『三百藩家臣人名事典』(全7冊)の目次は既に登載済み
『日本現代詩辞典』桜楓社(1986)
※分銅惇作、田所周、三浦仁編。明治から現在までの現代詩に関わる「人名」「雑誌」「文芸用語」を収録、うち「人名」だけを抜き出して目次を作成した。存命者を含む約900人を収録、谷川俊太郎らの項目もある
『郷土歴史人物事典』第一法規出版(1977~85)
※人名事典としてはハンディな四六版で刊行された、郷土歴史人物事典シリーズ。全刊行タイトルのうち、茨城・愛媛・香川・神奈川・岐阜・群馬・滋賀・千葉・栃木・福井・和歌山・奈良を登載。長崎と長野は登載準備中 『山形県人名録』山形自由新聞社(1941)
※太平洋戦争開戦の年に出版された、山形県在住及び出身者の人名録。五十音排列で約4600人を収録、肩書・生年・学歴・住所・略歴などを掲載。NDL目次は「イ(ヰ)之部」など音順見出しのみ
【閉鎖するデータベースのデータ、お引き受けします】
弊社は、閉鎖予定のデータベースのデータを引き取り、続けて公開します。図書館関係者の方から「科研で作られた有益なデータベースが、教授の退官時や公開サイトの閉鎖時に消滅してしまうものが多い」という声を聞いての取り組みです。
過去にお引き受けしたものに「日本の参考図書WEB版」があります。
詳しいお話をお聞きになりたい方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
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☆皓星社出版ニュース
【新刊】
12/27発売 『越境のアーティスト 富山妙子』
真鍋祐子監修 A5版並製 336ページ 定価3,300円
女性として、アジア人として、日本人として、「語りの芸術(ナラティブ・アート)」を体現した富山妙子(1921〜2021)。傍観者でいることに疑問を持ち続けた富山の作品は、油彩・リトグラフ・コラージュ・映像作品など、多彩なメディアに富み、時代も境界も越えて反響していった。差別意識と分断の溝がより深かった時代、富山を突き動かした感情とは何だったのか? 植民地で育ち、ポストコロニアル批判とフェミニズムの思想に立って、画壇に迎合することなく〝魂振りの巫女〟として歴史を伝え続けた富山妙子の生涯の功績を追う初めての書。代表的な作品を紹介するカラー口絵、年譜、著作一覧も収録。
★富山作品が展示中!
…富山妙子《光州のピエタ》が展示予定。日韓国交正常化から60年の節目に合わせた、韓国の国立現代美術館との共同企画です。
★↓刊行記念note連載もぜひ併せてお読みください!
『越境のアーティスト 富山妙子』刊行記念連載「富山妙子に出会う」
2/6発売 『鎌田慧セレクション9追い詰められた家族』 鎌田慧著 A5判並製 3,000円 368ページ
「働く」「働く」「働く」…。仕事第一主義が家族を破壊し、人間を追い詰める。14の家族の悲劇を辿った、『家族が自殺に追い込まれるとき』。2006年、秋田で起きた児童殺人事件を追った、『橋の上の「殺意」』を収録。鎌田慧セレクション全12巻もまもなく完結です。引き続き、ぜひご購読を!
【近刊】
3月6日発売予定
『昭和五十年代をさがして』 高野光平著 46判並製 320ページ 定価2,000円
昭和文化をテーマにしたテレビ番組の監修や資料提供も手がける大学教授の著者による、高度成長とバブルの間にありながら、これまであまり注目されてこなかった昭和五十年代にフォーカスした学術的エッセイ。「街はたばこ天国」「健康法~紅茶キノコからエアロビクスまで」「土曜のテレビ、日曜のテレビ」「演歌の全盛期」「西武ライオンズとあの頃のパ・リーグ」「ジュースとお菓子とコンビニと」など、昭和五十年代の暮らしと文化をディテール豊かに描いています。
《営業より》 ノスタルジックに要約された語りに回収されがちな「レトロ」を、研究者の目線で高解像度で綴ったエッセイ。あとに生まれた世代にとっては驚きの資料として、当時を生きていた世代にとっては記憶を呼び戻すタイムマシンとして、話の種に尽きない1冊になっているはずです。
3月6日発売予定
『金子文子 反逆の思想:「人間の絶対平等」を求めて 安元隆子著 46判並製 256ページ 定価2,500円
⼤正時代、たった⼀⼈で国家権⼒に⽴ち向かい、⾃ら死を選んだアナキスト、⾦⼦⽂⼦(1903-1926)。今年没後100年をかえます。本書は文子の思想を、著書『何が私をこうさせたか』など、残された数少ない記録からたどる画期的な論考。第1部は文学研究的なアプローチで文子の表現を読み解きます。第2部では文子が受容した石川啄木やマックス・シュティルナーなどの思想から、文子が自死を選ぶまでの末期の思想の流れを検証します。「人間の絶対平等」を掲げてひたすらに生き、闘い抜いた人間・金子文子の姿を描き出します。
《営業より》 朝鮮人の虚無主義者・朴烈(パクヨル)のパートナーとして語られることも多い金子文子。本書は、ひとりの思想家として金子文子の実像を立ち上がらせるべく、文学研究の手法でじっくりとテキストを分析します。アイコンとしてではない一人間としての金子文子像が見えてくる本書は、春秋社から復刊となる獄中手記『何が私をこうさせたか』や新作映画の副読本としてもおすすめです。
3月発売予定
『国家に喧嘩を売る女、金子文子:映画『金子文子 何が私をこうさせたか』 浜野佐知編著 46判並製 272ページ予定 予価2,500円
金子文子没後100年をまえに、まもなく浜野佐知監督作品『金子文子 何が私をこうさせたか』が封切られます。本作は、これまで空白だった死刑判決から死に至る121日間の、金子文子の最後の闘いを、残された数少ない短歌と共に描きだしています。朴烈の恋⼈、という側⾯が強調されがちであった文子の、新たな像が浮かび上がります。本書はこの映画にフォーカスした単行本。名著『女になれない職業』(ころから)の続編ともいえる、本作の製作記「金子文子という爆弾」にくわえ、なだたる書き手のみなさまからの寄稿、主演菜葉菜さんのインタビュー、シナリオ、金子文子全短歌など充実の一冊に。100 年後を生きる私たちが「金子文子」を受け止める手がかりがここにあります。
《営業より》 女性監督冷遇の時代にピンク映画監督からキャリアを積んだ浜野監督が「国家に喧嘩を売る女」である金子文子を撮ることの並々ならぬ想いがつまった製作日誌は、映画の鑑賞前・鑑賞後どちらのタイミングで読んでも有意義な内容です。 高島鈴さん(『布団の中から蜂起せよ』)や栗原康さん(『アナキズムQ&A』)ら現代のアナキスト、北村匡平さん(『24フレームの映画学』)や崔盛旭さん(『韓国映画から見る、激動の韓国近現代史』)といった映画研究者による寄稿が集まり、現代の金子文子受容を知るための絶好の手引書にもなっています。
映画「金子文子 何が私をこうさせたか」は2/28(土)から渋谷ユーロスペースで公開! その他全国20館以上で順次上映が決まっています。
映画の詳細はこちら! 上映館情報はこちら!
【書評・掲載情報】※リンクありのものはウェブ上で記事が読めます
『長周新聞』2026/1/12『越境のアーティスト 富山妙子』
『新文化』2026/1/15 『ライトノベル雑誌・少女小説雑誌目次集成』
『週刊教育週報』2026/1/19 安田浩一『新版 学校では教えてくれない差別と排除の話』
『週刊エコノミスト』2026/1/27 鎌田慧セレクション
『しんぶん赤旗』2026/1/18 樋上典子『学校では教えてくれない性の話』
『毎日新聞』2026/2/2 真鍋裕子監修『越境のアーティスト 富山妙子』
【出演情報など】 『学校では教えてくれない性の話』の著者、樋上典子先生が監修に関わっているショートドラマの放送が始まりました。
1/8〜3/26(全10話) NHK Eテレ「聞けなかった あのこと」
テーマは10代の妊娠。放送完了話は、NHK for schoolでもご覧いただけます。このメルマガには中高生の読者はいないかも…しれませんが、ティーンの親御さん、お子さんと一緒にぜひご覧ください!
【note】
皓星社のnoteを立ち上げました!
書籍情報やイベント・フェアのお知らせ、試し読みなどを掲載します。
〈最近の記事〉
【特別公開】早尾貴紀『パレスチナ、イスラエル、そして日本のわたしたち』まえがき【2025.10.7】
【特別公開】安田浩一『新版 学校では教えてくれない差別と排除の話』6章「ヘイトスピーチとはなにか」より
【新連載!】『越境のアーティスト 富山妙子』刊行記念連載「富山妙子に出会う」
【イベント・出展情報】
3/21(土)15:00~17:00 アリラン・ブックトークvol.23 @文化センターアリラン(東京・新大久保)
村松武司著『朝鮮植民者:ある明治人の生涯』をテーマに開催されます。ゲストに松井理恵さんが登壇。詳細、お申し込みはこちらから→https://arirang-booktalk23.peatix.com/
4/18-19(土・日)春の神保町ブックフェスティバル
秋の恒例行事・神保町ブックフェスティバル、今年は初めて4月にも開催!昨年秋に中止になってしまった残念な思いをこの4月に燃焼させたいと思います!近代出版研究所主催・古本市も計画中です。
【選書フェアいろいろあります】
皓星社では、色々な選書フェアをご用意しています。ブックリスト(10〜100冊以上まで!)の中からお店向けのタイトルを選んでいただき、規模や時期はお店の都合に合わせて実施できます。開催希望の書店さま、いつでもお声かけください。リストやコメント付きの冊子など可能な限りご用意します。ご希望の書店様は こちら からご連絡ください。
『パレスチナ、イスラエル、そして日本の私たち』刊行記念フェア
“パレスチナ/イスラエル問題を「自分のこと」として考えるための23冊”
長年にわたりパレスチナ/イスラエル問題の歪みを発信し続けている早尾貴紀さんの、最近のご活動を中心に、同著者の『イスラエルについて知っておきたい30のこと』(平凡社)とあわせての選書ブックフェアをご用意しました。
複数書店にてフェアのリーフレットを配布中です。
『鎌田慧セレクション-現代の記録-』フェア
鎌田慧さんが、ご自分が影響を受けた本・ご自分の分野と隣接する本78冊と、ご自身の著書55冊を選び、コメントを付してくれました!
日本の戦後社会の闇が浮かび上がるようなフェアの開催、いかがでしょうか?
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☆近代出版研究所だより
『近代出版研究』5号は、最近注目されているエフェメラ、それも印刷物=プリンテッド・エフェメラの特集です! 原稿が届くたびに「今後、本特集を読まずにエフェメラを語れないかも……」という気になります。特に昭和レトロ文化研究家として名高く、蒐集趣味について造詣が深い串間努さんの力作「日本の蒐集趣味とエフェメラ――「寸葉品」概略」と、小林昌樹編集長の「なぜ今(いまさら)エフェメラなのか――デジタル化で出現した「対抗書物(カウンターブック)」」はエフェメラの定義/概念を考える上で必読。他にも戸家誠「明治二十年代の大阪書籍商の〝販売資料〟を求めて」(明治期書籍商の発兌目録=販売カタログ)、松﨑貴之「又一つ発売禁止秋の風――文展絵葉書の大量流通、春画的受容とその取り締まり」(絵葉書)、毛利眞人「レコードのエフェメラ――宣伝物から販売サービスまで」(レコード販促物)、スーザン・テイラー「エフェメラの未来――神田神保町をデジタル・アーカイブにする」(エフェメラのアーカイブ)など、大特集になっています。乞うご期待。
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★ハンセン病資料館友の会だより
国立ハンセン病資料館が大好きで、応援したい! という市民の集まりです。皓星社の晴山が世話人の一人を務めています。市民の側からもいろいろなアプローチができるといいな、ということでイベントなど開催しています。詳細はこちら
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☆「皓星社友の会」のご案内
ご好評頂いている「皓星社友の会」、2025年度(2025年7月〜2026年6月)販売中です。
◉特典
・友の会割引 弊社のすべての出版物を、15%引、送料無料でご購入いただけます。
・皓星社主催のイベント参加割引
・ざっさくプラス&じんぶつプラス利用権
・ご希望の雑誌の目次をざっさくプラスに搭載(時期は相談)。雑誌を貸していただける場合は、入力データを提供します。
・お誕生日プレゼント(お好きな弊社の本を1冊プレゼントします。価格上限は皓星社友の会の一般価格になります)
◉価格
一般:年間12,000円 学生:6,000円 (税別)
※学生割引を希望する方は、ご所属大学ドメインのメールアドレスでお申し込み下さい。
詳しくはこちらの「皓星社友の会」をご覧下さい。
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★ 編集後記
没後100年と映画「何が私をこうさせたか」公開に合わせて、金子文子の新刊を2点同時刊行。本の注文書に「アナキズム最高!」と書いて返送してくれた書店員さんがいて、イエス! イエス! こっそり握手を交わしたような気持ちになりました。吹雪のような衆院選があった2月。金子文子の生きざまに触れると握りこぶしを天に突き上げたくなってきます。 新刊がもう一点、「昭和五十年代をさがして」というエッセイ。平成っ子のわたしは元号で言われてもピンと来ないのですが、1975~84年のことですね。母親が今のわたしより若かったころだ。なんとなくクリスタルだったのでしょうか。紅茶キノコは知らないけれど、カルアミルクはわたしも好きだよ。(田中)
連載もいつしか節目の50回に到達。しかしながら『ライトノベル雑誌・少女小説雑誌目次集成』の怒濤の日々が終わっても、『昭和五十年代をさがして』『近代出版研究』「じんぶつプラス」の三本立てで、なんだか全然暇にならず、出版人調査に割く時間が取れない。私の中で懸案となっていた某大物出版人の没年月日をついに判明したのでそれを主題にしたかったのですが、『近代出版研究』用に書いたコラムを拡張した雑感になりました。(河原)
1月21日は梓会出版文化賞授賞式でした。弊社はかつて2011年にも「新聞社学芸文化賞」を頂戴しています。私は2012年2月入社で、正式入社の直前になぜか授賞式を見学させていただいたことを懐かしく思い出しました。あれから14年、頼り支え合える方が社内外に増え、今は当時とは全然違う景色が見えています。おもえば遠くにきたもんだ、とはこういう気持ちでしょうか。今まで一緒に歩んできてくれた皆さんに感謝しています。(晴山)
1月21日、一ツ橋の如水会館で、出版梓会出版文化賞の授賞式があった。弊社はその「新聞社学芸文化賞特別賞」を受賞した。ちなみに如水会館は学士会館の信号挟んで対角線上にある。学士会館というのは、大学卒業すると「学士号」を授与されるわけだからだれでも会員になれると言えばそうではなく「旧制帝国大学」の卒業生しかなれない。それに反発した一橋大学が学士会館よりでかくて高い会館を立てたのだ(嘘)。以下「受賞のことば」です。 ***
学校は出たものの腰の定まらない風来坊でした。そんな僕を心配して紹介されたのが村松武司という人でした。村松は詩人で、その頃ダイヤモンド社で「数理科学」という雑誌の編集長をしながら草津のハンセン病療養所で詩の指導をしていました。ボクは村松から、出版とハンセン病問題についての影響を受けのめりこんでいくことになります。 また、村松はダイヤモンド社に籍をおく前は小山書店の社員で、小山書店が引き受けていたブックスの会の事務局をしていました。ブックスの会は広く業界団体の梓会に対し、岩波書店(長田幹雄)、小山書店(小山久二郎)、河出書房(河出孝雄)、東京創元社(秋山孝男)、筑摩書房(竹之内静雄)、有斐閣(江草四郎)など12社でスタートしメンバーはほぼ固定し、他業種からの参入が相次いだ戦後の混乱期に「正統的出版社」としての自負をもって同志的、個人的なつながりによる会の色彩が濃く、会員の高齢化とともに自然消滅しています。 1979年、ボクはひょんなことから皓星社を創業することになりました。当時、指導を仰ぎ目標とするにはブックスの会のメンバーはすでに業界の長老で偉すぎて近寄りがたく、一方、梓会は現役のバリバリでいわば兄貴分的親しみを感じていました。しかし、若いといっても30歳そこそこの僕らから見れば、古き良き時代のにおいをまとった戦中派でした。その戦中派の先輩から梓会の名の由来は「帰らねとかねて思えば梓弓亡き数にいる名をぞ留めん」という、楠木正行が高師直との四条畷の合戦に死を覚悟して出陣したときの辞世の句だと教えられました。当然返品なしの含意です。しかし、この話は梓会の公式記録にはどこにもありません。この歌は帰還を期さないとして特攻隊の遺書にも引用されるような忠君愛国の旧道徳のシンボルでしたから戦争直後の公式記録に残すのははばかられたのではないかと思っています。 1990年代に入り編集上の必要から戦前期の雑誌記事を探すツールがないことにきづきました。しかし調べてみると、大概の専門雑誌の巻末などに「先月の重要記事」として目録が連載されていることがわかりました。そこで、書籍化されていないため埋もれていたこれらの目録を徹底的に集めました。この時集めた10万ページに及ぶ目録を戦前期の『記事索引』の代用として商品化することを思いつき、これは結構好評で、1990年代の社を支えてくれました。さらにデータベース化し戦前戦後を通して検索できる唯一のツールとして2007年に提供を開始しました。いまデータ量3000万件になってたぶん日本一のデータ量になっています。 こうして梓会の先輩各社を目標としながら、1990年代から2000年代にかけて「普通の出版活動」から外れたところで活動を余儀なくされましたが、2010年、創業から続けてきたハンセン病患者、回復者の作品集の集大成として全10巻の『ハンセン病文学全集』出版によって梓会新聞社学芸文化賞をいただくことができました。2000年代に入って一般書の出版活動への復帰を図ってきましたが、取次に往年の力はなく販売環境も多様化し今浦島の状況でしたから梓会からの受賞は一般書出版の仲間に復帰を認められた感じがして格別の喜びでした。 それから15年、目標だった梓会への入会も果たし、今度は新聞社学芸文化賞の特別賞をいただくことになりました。大変名誉でありますが、2回とも新聞社学芸文化賞でした。これからは一層精進して梓会出版文化賞の正賞を狙いたいと思います。 何といっても、賞金が倍ですから。(笑)(藤巻)
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